転職を成功に導いた嫁ブロック三つの問い

コラム

二度の転職、いずれも嫁に反対された

私は二度の転職を経験しているが、いずれも話を告げた直後は嫁に反対された

その時の心境といえば、理解してもらえない苛立ちと何とかその場をしのぎたい焦燥感でいっぱいだったと思う

しかしながら、振り返るとその時の嫁の問いは転職における重要なポイントをしっかり抑えており、それらの問いに向き合ったことが今のキャリアを作っている

同じようにパートナーの転職を心配してくれる夫・妻がいる方も、パートナーはいないが自分の転職に不安を感じている方も、参考にしてほしい

核心を突く、三つの問い

問1 あなたのやりたいことは何?

私は新卒でSIerに就職し、プロジェクトマネージャとして働いていた

仕事の内容は楽しかったし人間関係にも不満はなかったが、プロジェクトが佳境に入ると毎日タクシーで帰るような生活だった

このままでいいのだろうか?

そう感じたのは3年目の中頃だった

上司や先輩を見ていると、出世しても多忙であることに変わりはなかった

それどころか年数を重ねるごとにプロジェクトの規模は大きく・並行で遂行する数は増え、ますます多忙になっていく

プライベートでは結婚してちょうど一年経ったくらいで、そろそろ子供がほしいと考えていたこともあり、今の仕事を続けていては将来的に私生活に支障があるのではないか?と感じていた

とにかく今より楽な仕事を探そう」

私はそういう発想になっていた

上司には相談せずにこっそりと転職エージェントに登録し、いくつかの求人を紹介してもらった

そこで当時の自分(SIer)から見た顧客、情報システム部門に目がついた

自分がそっち側で仕事をすればめちゃくちゃ簡単ではないか

発注側が専門性を持っていれば、外注に依存することなく、見積もりの妥当性も厳しくチェックできる

そこで私は社内SEの求人にフォーカスし、ちょうど内製化を進めようとしていた1社から内定をもらい、そこに転職することに決めた

帰宅後、妻に「今の会社をやめて、ここに転職する」と伝えた

自分の仕事のことだし、転職後の会社もまあまあ有名で安定している企業だったので特に反対があるとは考えていなかった

「帰りも早くなるし、妻にとってもいいだろう」

そう考えていた

しかし、妻の返しは想像と違っていた

あなたのやりたいことは何?

正直、この問いの回答は持ち合わせていなかった

「今より楽になる」

「自分が社内SEになればもっと効率的に仕事を進められる」

これらは「自分のやりたいこと」とは無関係だった

私は現在直面している課題をクリアする手段として転職を捉えていたが、妻の問いはもっと本質的だったし、仕事やキャリアというものをより真剣に捉えていた

自分は何がやりたいのか?

自分の仕事感、会社と自分との関係性、今後のキャリアに向き合う思考がここから始まった

問2 なぜ今の会社ではそれが実現できない?

結局、「やりたいこと」は曖昧なまま社内SEへの転職を果たした

その後、またしても同じ壁にぶつかった

このままでいいのだろうか?

転職した企業は従業員が30,000人を超える大企業であり、当然仕事のボリュームも大きく、一人一人が担当する業務範囲はかなり限られていた

SIerだった頃は、サーバ、ネットワーク、PC、セキュリティ、あらゆる観点で自分の考えを巡らせて答えを出す権限があった

しかし転職後、自分の役割は「ネットワークチーム」であり、それ以外のことは別の組織が担当している

サーバに不満があっても、セキュリティに懸念があっても、自分には口を出す権利がなかった

つまらない

そう感じていた

気がつけば、またしても転職エージェントに声をかけ、新たな道を探していた

今回はやりたいことが明確になっていた

「自分の知識・経験をフルに生かして、自分の意思決定で組織を動かしたい」

そう考えて、従業員2000名規模の会社のIT企画職への内定を決めた

帰宅後、妻に「今の会社をやめて、ここに転職する」と伝えた

今回は大丈夫

そう思っていた

しかし、妻の返しはまたしても想像と違っていた

なぜ今の会社ではそれが実現できない?

厳しい質問だった

そこまでの知識・経験と意思決定できる能力があるというのなら、なぜ今の会社でそれをさせてもらえないのか?

確かに当時所属していた会社は若手の抜擢も全然ある社風だったし、尖っていることは大いに結構という文化だった

本当にいい提案を持って、本気で訴えかければチャンスはあるかもしれない

ただそれを怠っているだけではないのか

またしても妻の問いは本質的であり、私の返しはその場しのぎの言い訳にしかならなかった

問3 転職後のキャリアはどうするの?

流石に企業規模が大きすぎて、自分が希望するようなポジションが任せられるには時間がかかるだろう、それを待っている時間が勿体無い

最終的にはそういう理由で二度目の転職をする方向で話が進んだ

転職二回目ともなると、自分としても妻の本質的な問いに対して本当の答えを持っていないとまずいな、と感じていた

転職後のキャリアはどうするの?

さらっと聞かれたが、これまた回答を持ち合わせていなかった

「自分の知識・経験をフルに生かして、自分の意思決定で組織を動かしたい」

2000人規模の会社でこれを果たしたら、その先には何があるのか

結局は初めの問いに戻るのだろう

あなたのやりたいことは何?

自分自身、この答えはまだ出ていない

幸いなことに、今の会社は自分のキャリアパスを戦略的に組み上げ、自ら作り上げる社風がある

「やりたいことは何か?」この問いに対して真剣に向き合いながら、仕事の内容を緩やかに拡張し、自分のできることを最大化することで互いにWin-Winの関係を築くことができている

「いつかはグローバルに挑戦したい」と頭の片隅に思っていたことも実現できている

それなら一度海外に出向してみよう、そこで実績を積んだらまた戻ってきてグローバル全体をマネジメントしたらいい、そういう環境にある

私は運がよかった、そう思っている

今の自分があるのは、事あるごとに核心をつく問いを投げかけてくれた妻のおかげである

この三つの問いを有効に活用して、成功したと思える転職をしていただけたら幸いです

転職を成功に導く三つの問い

  • 問1 あなたのやりたいことは何?
  • 問2 なぜ今の会社ではそれが実現できない?
  • 問3 転職後のキャリアはどうするの?

転職する際にはぜひ一度自問してみてください